ここにいるよ!

ここで待ってるから見つけてね!

プライド

知人のAさんは、娘時代から学業優秀で、同級生や地域の方たちから一目おかれ、その上、清楚で上品な見た目からも注目されていたようです。


ご主人や子供達も優秀で同級生たちの羨望の目を集めていましたが、ご主人が病気で亡くなり、子供達が結婚を機に遠く離れてしまったころから人が変わったようになりました。


あんなにハツラツと元気な独り暮らしをしていた数年が、みるみる変化して行き、ついには誰にも会いたくないと、訪問やお出かけを拒否するようになりました。

もともと、でしゃばる性格では無く、頭が良いことをひけらかす人では無かったのですが、周りにいつも褒め称えられているうちに、プライドは高くなっていたのでしょうか。

高齢者特有のうつ状態になって容貌が変わったことや、精神状態の不安定さから来る、人とのコミュニケーションが出来なくなったことに嘆き悲しみ、全く人を寄せ付けないまでになって、心を閉ざしたまま、ついには施設に入所することを選びました。


注目を浴びた若い時代のプライドが今の自分を許せなかったのか、変わり行く老いを知り合いに見せたく無かったのか、そうなる前に

自ら望んで施設入所を決めたのです。

この先、認知症になって一人で暮らせば、親戚、友人知人、ご近所さんまで自分の晒したくない姿を晒すことになる、その事を一番に思ったのでしよう。

入所してしまえば、その限られた関係者だけにしかその姿を見られないことを知った上での決断だろうと、周りは深い同情と、そのプライドの高さに改めて驚きました。


会えるのは一人の妹と、息子娘だけだそうです。そんな変化を知った同級生や仲良しだった友が、施設にアポ無し訪問をしたら本人はカンカンに怒り出し、追い返されたそうです。それは当然でしょう。


心の病とはいえ、当人にとっては望まない再会だったのです。近しい間柄ならもう少しの配慮と、別の形での心の寄せ方があつたのではないかと、それを聞いて思いました。ひとの苦しみはその人にしか分かりません。

優しさの押し売りや責任の取れない同情は、かえって傷付けることにならないか、よく考えたうえで行動するべきだと思います。


とかく女性は、多人数で動くことがあります。その場所をわきまえ、一人で行動する勇気は必要です。ましてコロナ禍のなか、人のプライベートに足を踏み入れることは慎重になるべきです。

 

良かれと思って…と言う言い訳は、相手にとって「良かれ」では無いのです。

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