ここにいるよ!

ここで待ってるから見つけてね!

誰にでも初恋はある

人を好きになるって物凄いエネルギーが要ることだと思う。
まして生まれて初めての恋なら、自分で自分の感情が抑えられない不思議な体験にビビるものだ。
でも、その恋が小学生ではまだまだ生ぬるい感情で、もしかしたら恋と言えるほどのものでは無いのかも知れない。異性を特別な存在として認め、自分にとって全く未知な感情が継続的に溢れてくるとき、自分が確かに恋をしていると気付き始める。
私が薄々ながら異性に好意を持ち始めたのは小学6年生だった。
いよいよ卒業が近づき、6年間同じ学校で学んだ同級生ともバラバラになるという感傷的な時期に、それは不意にやって来た。


当時、サイン帳なるものが流行っていて友達同士で自分のサインに一言を添えて交換するアレだ。クラスが違う友達とのサインの交換は今思い出しても懐かしく、これを考えた人には敬意さえ感じるのだが、まだ幼い子供にとっては当時の感情として震えるほどの緊張感と、切羽詰まった感情とに揺れに揺れていた。
決断するが早く、違うクラスに向かうと目は一点を見つめ足早に近づいて「サインしてください」と一言言った。
時々一緒に登下校する仲良しの男の子だった。


もう男の子を意識する自分を感じていたけれど、相手の子も自分を好意的に見ていたと自惚れてもいた。
男の子は照れながらもサイン帳を受け取ると黙ってペンを走らせていた。
返してくれたサイン帳を読むことなく「ありがとう」と言うが早く、くるりと向き直ると足早に教室を出た。 出てすぐに耳の後ろから不意に聞こえた大きな歓声と拍手、振り返ると男の子のクラスメートが男の子を囲んでワイワイ騒いでいるのが見えた。


自分の教室に戻りながらサイン帳を開いてみると、そこには大きな字で「また、会おう!」と一言だけ書いてあった。
この男の子は、別の中学校へ進学することになっていた。
ちょっと大人っぽくてお兄ちゃんみたいな都会的な男子だった。
周りの、まだ幼い坊ちゃま風の男子とは違っていて、私は初めて強く男の子を意識したのだろう。


頭が良くて運動も得意、顔もいい、これぞ私の憧れだった。(笑)
.......だが、初恋の思い出とはそんなものだ。
その後の結末も続きも無いまま、他には何も覚えていない。サイン帳も何処へ行ったやら....
私は恋も知ったが、同時に自分が「熱しやすく冷めやすい」タイプだと初めて気付いた。


そして恋多き女子は呆気なく次の憧れ男子に夢中になるのだった。 チャンチャン!

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